空手など、スポーツに取り組んでいる子どものパフォーマンスアップを目指す際、筋力トレーニングの必要性を感じたことがあると思います。
しかし、体が出来上がっている大人とは異なり、子どもの体は成長の途中段階であるため、どの程度まで筋力トレーニングをおこなえば良いのか迷うところ。
そこで、実際に我が子や子どもの生徒達を指導した経験に基づいて、子どもの筋力トレーニングについて説明させていただきます。
- 子どもの筋力トレーニングに対する考え方
- 簡単!「こどもの筋トレ」メニューをやってみよう
- こどもの腕立て伏せ
- こどもの腹筋
- 中級者向け:こどもにおすすめのチューブトレーニング
- 上級者向け:「筋肉体操」をやってみよう
- 筋トレはどのくらいのペースでやれば良いの?
- 体づくりの食事法について
- 書籍紹介|子ども向けの筋トレが学べる本
子どもの筋力トレーニングに対する考え方
「子どもの筋力トレーニング=悪」ではない
人間が体を動かすのにはすべて筋肉が作用しており、「子どもの足が速い」「ボールを遠くまで投げることができる」など、スポーツで良いパフォーマンスを発揮するのは筋力の優劣は重要な要素として挙げられます。(もちろん、体の使い方もパフォーマンスアップとなります。)
例えば、足が速くなりたいからといって走る練習をおこなうは間違いではないのですが、早く走るための足の筋肉を強化する。というトレーニングも走る練習と同じくらい重要です。
重いものを持ち上げるだけが筋力トレーニングではない
筋力トレーニングというと、ボディビルダーのように重たいものを持ち上げるイメージがありますが、腕立て伏せや腹筋といったいわゆる「自重トレーニング」も立派な筋力トレーニングです。
たとえ体重の軽い子どもでも、正しいフォームで自重トレーニングをおこなうことでしっかりと筋肉を鍛えることができます。
できない時は、「筋肉に力を入れる」ことからはじめよう
小さな子どもの場合、腕立て伏せや腹筋が1度もきちんとできない場合があります。そのような場合は、同じ姿勢をキープしたまま「筋肉に力を入れる」ことからはじめましょう。例えば、腹筋で体を持ち上げることができない場合でも、体を持ち上げようと腹筋に力を入れるだけでも「アイソメトリックス(静的トレーニング」という立派な筋肉トレーニングになります。
このように、腹筋のアイソメトリックス を続けることで、腹筋で体を持ち上げられるようになったり、腕立て伏せで体の上げ下ろしができるようになります。
「セット法」を取り入れましょう
より筋力トレーニングの効果を高めたい場合には、「セット法」を取り入れてみましょう。セット法とは、腕立て伏せを10回だけやって終わるのではなく、少し休憩をいれた後(20~30秒程度)に同じ回数(もしくはそれより少ない回数)をもう一度繰り返す方法のことを指します。このセット法を繰り返すことで「筋肉を少し回復させる→まだ使われていない筋肉を使う」という行為をおこなうことができますので、筋力トレーニングの効果を高めることができます。
簡単!「こどもの筋トレ」メニューをやってみよう
こどもの腕立て伏せ
腕立て伏せのやり方
目標:「5回~10回 × 2~3セット」
1セット目は、腕立て伏せを5回~10回おこないます。その後、20~30秒程度休憩をはさみ、2セット目として、5回~10回おこないます。
セット数は2~3セットくらいがよいです。
<うまくできない場合は>
・手の幅を見直しましょう
腕立て伏せをおこなう場合、手の幅が違うと難易度が変わってきます。手の幅が狭すぎる・広すぎる場合は、手をまっすぐ肩幅の位置に置くように修正しましょう。
・膝をついてみましょう
腕立て伏せができない子どもは、自分の体重を腕だけで支えることが難しい場合があります。そのような場合は、膝をついて負荷を軽くしてみましょう。しっかりと腕の曲げ伸ばしができることが重要ですので、軽い負荷でも腕立て伏せができる状態をつくり、子どもに自信をつけさせてあげましょう。
こどもの腹筋
腹筋のやり方
目標:「5回~10回 × 2~3セット」
1セット目は、腕立て伏せを5回~10回おこないます。その後、20~30秒程度休憩をはさみ、2セット目として、5回~10回おこないます。
セット数は2~3セットくらいがよいです。
<うまくできない場合>
・背中にクッションをはさんでみましょう
子どもの腹筋がうまくできない場合、体を持ち上げる最初の動作で筋力が足りない場合が多いです。そのような場合は、クッションを背中にはさんで体を起こした状態を作ってあげましょう。はじめから体が起き上がった状態をつくることで、腹筋が少し簡単にできるようになります。リクライニング機能がついている座イスを使用するのもアリですね。
↓座椅子のイメージはこんな感じです。↓
アイリスオーヤマ 座椅子 ワッフル生地 14段階リクライニング ベージュ ZC-2
・とにかく腹筋に力を入れる
腹筋で起き上がることができない場合、とにかく腹筋に力を入れることを頑張りましょう。同じ姿勢で静止する状態は、「アイソメトリックス」という立派なトレーニングとなります。この状態を繰り返すことで腹筋が鍛えられ、自然と体を持ち上げることができるようになります。
中級者向け:こどもにおすすめのチューブトレーニング
小学校高学年にくらいになってくると、腕立て伏せもきちんとこなせるようになり、筋肉への刺激が停滞してしまう子もでてきます。(本人も飽きてしまいますね。)そのような場合は、チューブトレーニングで筋肉へ新しい刺激を与えてあげましょう。道具を使ったトレーニングをおこなうことで、子ども自身も新鮮な気持ちでトレーニングに向き合えるようになると思います。
チューブトレーニングのメリット
・関節を痛めにくい
チューブはダンベルなどのウエイトとは異なり、最初は負荷が軽く、チューブを伸ばすにつれて負荷が重くなっていく性質がありますので、骨や関節が成長段階にある子どもの体に負担がかかりにくいと考えています。無理に思いダンベルを使用して関節を痛めるなどのリスクを負ってしまうこともなく、比較的安全にトレーニングができるのでおすすめです。
・競技に近いフォームでパフォーマンスアップ
手や足に装着できるアタッチメント付きのチューブでしたら、自分の競技に合ったトレーニングをおこなうことができるため、パフォーマンスアップになります。
空手の場合でしたら、突きや蹴りの動作でトレーニングができます。他の協議においても、野球の投球フォームやサッカーのキックなど、チューブの柔軟性を活かした効果的なトレーニングができます。
チューブトレーニングのデメリット
・大人の補助が必要
チューブトレーニングは子ども一人でおこなうことは望ましくありません。間違ったフォームで動作をおこなっていないか、チューブを正しく装着できているかなど、大人が付き添ってあげることが望ましいです。
・チューブの劣化に注意
チューブは使用していると少しずつ劣化してきます。また、使用していない状態でも紫外線などにより劣化する場合もあります。チューブトレーニングをおこなう前は目視やチューブの伸縮を確かめるなど、安全に使用できることを必ず確認するようにしましょう。
おすすめのチューブはこちら
前述した条件を満たすチューブがないか探したところ、ちょうど良いものがありましたのでご紹介しておきます。
おすすめポイント1:チューブの強度(かたさ)が選べる
強度の異なるチューブがセットになっていますので、子どもの体力に合わせて最適な強度を選択できるようになっています。最初はいちばん軽い強度からスタートしてチューブに慣れることが大切です。慣れてきたら、少しずつチューブの強度を上げていきましょう。
おすすめポイント2:ハンドル付きで握力が弱くても安心
このチューブにはハンドルが付属しています。チューブ単体を握る場合だと手からすり抜けてしまう危険性がありますが、ハンドル付きであればしっかりと握ることができますので安心です。
おすすめポイント3:競技を想定してさまざまな動きができる
「押す」「引く」どちらのトレーニングも可能です、また、チューブ自体が自在に動きますので、工夫しだいで野球の投球やサッカーのキックなど、自分の競技に近い動きでトレーニングできるのも魅力ですね。
足首などに装着してトレーニングできるのも魅力です。蹴り(キック)の強化にも良いですね。
大人でもけっこうキツイかも。ぜひ一度チャレンジしてみてください。
上級者向け:「筋肉体操」をやってみよう
「筋トレのフォームも安定し、一定回数を余裕を持ってこなせるそこの君。そんな君には筋肉体操がおすすめだ。筋肉体操は自分の体重を使ったトレーニングだがかなりハードだ。詳細が知りたければ、以下のリンクから鍛えたい場所をクリックしてくれ。」(筋肉体操好きの管理人より)
どこを鍛えますか?
上半身:腕立て伏せ2/Push-ups ~続・厚い胸板をつくる~
下半身:スクワット2/Squats ~続・強靭な足腰をつくる~
腹筋:腹筋2/Crunches ~続・凹凸ある腹筋をつくる~
背中:背筋2/Exercising the back muscles ~続・語れる背中をつくる~
筋トレはどのくらいのペースでやれば良いの?
2日~3日に一度のペースが理想
従来の筋力トレーニングの概念だと、トレーニングによって傷ついて筋繊維はおよそ48時間~72時間かけて修復されます。ですので、筋トレは2日~3日に一度のペースが良いでしょう。
また、子どもは成長ホルモンの分泌が活発ですので回復が早く、筋肉痛を感じない子供もいますが、空手の稽古でも筋肉を疲労させていますので、はじめのうちは休養を多めにとらせてあげる方が良いでしょう。あまり疲れを溜めてしまうと免疫力が落ちてしまい、風邪をひきやすくなってしまいます。試合前などの大事な時期は疲れを適度に回復させてあげるようにしましょう。
体づくりの食事法について
子供がスポーツでパフォーマンスをアップさせるためには、トレーニングと同様に食事法も重要となります。
食事法についてより詳しく・具体的に知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
※note(ノート)という形式でお読みいただくことができます。
書籍紹介|子ども向けの筋トレが学べる本
筋トレに関する本は大人を対象としたものがほとんどで、子ども向けの本は多くありません。ここでは、子ども向けの筋トレ本をまとめていますので、書籍購入の際の参考にしていただければ幸いです。
小中学生のためのフィジカルトレーニング: ぼくもわたしもアスリートになる! (GAKKEN SPORTS BOOKS)
小中学生のためのフィジカルトレーニング: ぼくもわたしもアスリートになる! (GAKKEN SPORTS BOOKS)
子供の運動能力が高まる「体幹バランス」トレーニング (遊び感覚で、ケガをしない体をつくる)
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子どもの運動神経をグングン伸ばす スポーツの教科書